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ミア・ローベル氏「ポッドキャスト広告にはCPMモデルは信頼性に欠け、不公平で、成り立たない」

Currentにて、以前ポッドキャスト制作会社Pushkin Industriesのコンテンツ責任者だったミア・ローベル氏による「ポッドキャストを評価するシステムが壊れている理由」と題したコラムが掲載されました。今日はこのニュースを紹介します。

Current / Why our system for valuing podcasts is broken

ミア・ローベル氏は、「ポッドキャスト広告におけるCPMモデルは、信頼性に欠け、不公平で、成り立たない」と語っています。

CPMは「Cost Per Mille」で、広告主が広告を1,000回読み込むたびに支払う広告料金のことです。例えば、3ドルのCPMで10,000広告インプレッションは30ドルの費用がかかるイメージです。ポッドキャスト広告の場合、ほとんどの人はエピソードは一度しか聴かないため、インプレッション数は実質的にダウンロード数に等しいと考えられます。

なおポッドキャスト広告の米国の平均CPMは、事前録音された60秒スポットの15ドルから、ホストリード広告の40ドルとなっています。

2023 Podcast Marketing Trends Reportによるエピソードごとのダウンロード数分布をみると、上位番組にダウンロード数が集中している傾向がみられます。

ミア・ローベル氏は、「CPMモデル」の限界として、ダウンロード数に依存するため正確性に欠け不正行為も起こりやすいこと、将来のダウンロード数を予測することは不確実性が高いこと、ポッドキャスト配信プラットフォームの仕様変更などの外部要因に影響をうけること、ポッドキャスターが制作コストに見合った収益を得にくいことなどを指摘しています。こういう問題が解決しないと役に立たないというわけです。

一方、ポッドキャスト広告の考え方に「スポンサーシップ」モデルがあるとしています。ラジオでもよく使われるモデルで、広告主が番組をサポートし、その名前やブランドを広い意味でコンテンツに関連付ける方法です。料金体系はCPMとは異なり、柔軟性があり、リスナー価値に基づいて設定されます。

しかし現状ではラジオ局において、ラジオ広告はスポンサーシップモデルで販売しても、ポッドキャスト広告を販売するときはCPMモデルで販売しています。一方、現在ではポッドキャスト番組をラジオで配信する例もあり、またラジオ番組をポッドキャスト番組として配信する例も増えています。ミア・ローベル氏は「同じようにコンテンツを聴くなら、同じような広告モデルになっているべきではないか」と指摘しています。

これを踏まえて、ポッドキャスト広告のCPMモデルの改善案として、リスナーの価値を正確に把握し、適切な料金設定を行う「ラジオのアンダーライティングのような人間中心の評価方法を取り入れる」こと、「ダウンロード数だけでなく、エンゲージメントやブランドリフトなども考慮した、人間が生成した指標を用いる」ことなどをあげています。

結論として、現在のポッドキャスト評価システムはポッドキャスターにとって持続可能な仕組みとは言えないため、ポッドキャスト業界はラジオのようなアンダーライティングのアプローチと、既存のCPMのような定量的なモデルを組み合わせた新しい評価システムを採用することで、より公平で収益性の高いエコシステムを実現することが必要であるとしています。

いやはや、これは深い話ですね。
ではまた!

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