広告除去サービスを手がけるZeroAdsが、6万超のポッドキャストエピソードから実際に切り出した広告時間を集計した調査を公表しました。1エピソードあたりの広告は中央値で4.3分。多くの番組は軽めですが、一部の番組に広告負荷が偏る実態が浮かび上がっています。
6万エピソードから広告を計測
ZeroAdsは、ユーザーが指定したポッドキャストのRSSフィードから広告を切り出し、広告のないフィードを提供するサービスです。その処理過程で、切り出したすべての広告がエピソード単位・番組単位でタイムスタンプ付きに記録されています。今回の調査は、2026年7月8日時点でのその記録を集計したものです。
調査のヘッドライン数値
- 広告を除去したエピソード数:60,536本
- 切り出した広告の総時間:5,398時間(連続再生すると約225日分に相当)
- 1エピソードあたりの広告時間:中央値4.3分/平均5.4分
再生時間に占める割合で見ると(改めて計測、対象60,874本)、中央値のエピソードは広告が10.2%を占めます。最も多い区分は6〜8%で、エピソードの17%は再生時間の少なくとも5分の1が広告でした。
多くは軽め、しかし”尾”が重い
分布は全体として低めに寄っています。13,987本(23%)は広告が2分未満で、最も多かったのは2〜4分の区分でした。ここだけを見れば、ポッドキャスト広告は大きな問題には見えません。
ただし残りの分布、いわゆる”尾”の部分が実態を物語ります。全体の13%にあたる7,897本は10分を超える広告を含み、639本は20分超、126本は1エピソードに30分を超える広告を含んでいました。それぞれが特定の番組の特定のエピソードであり、購読の傾向によっては、この”尾”が自分の通勤時間になり得ます。
中央値が聴取者にもたらすコスト
中央値の4.3分を、週に8エピソードを聴く人に当てはめると、週あたり約34分、年間で30時間近くの広告になります。しかも、それは自分で選んで聴いている番組の中での時間です。より広告の多い番組を追えば、この数字はさらに増えていきます。
広告負荷が高い番組の傾向
ZeroAdsは、計測エピソードが20本以上ある番組を対象に、広告負荷(再生時間に占める広告の割合)の上位番組も公表しています。最上位は「Handel On The Law」で44.0%、続いて「Covino & Rich」が36.7%、「Dear Chelsea」が36.6%でした。
ここには2つのパターンが見られます。1つ目は、30%を超える番組がいずれもiHeartまたはFox Sports Radio由来で、その多くがラジオ番組をポッドキャスト用に再編集したものだという点です。放送ラジオはもともと広告枠を軸に構成されており、ポッドキャスト版もそれをそのまま引き継いでいます。
2つ目は、割合が「分数」を隠すことがあるという点です。1エピソードあたりの広告分数が最も多いのは「The Alex Jones Show」で、21本の計測で平均33.2分。ただし1本が長いため、割合では15.3%にとどまります。長い番組では、一見穏やかに見える広告割合でも、短い番組の高い割合以上に時間を奪う場合があります。
数値を引用する前の注意点
ZeroAdsは、この調査の限界も明示しています。データはユーザーが広告除去を選んだ番組が対象で、トーク中心の米国番組に偏っており、ポッドキャスト全体ではなく同社の対象カタログの計測である点に注意が必要です。業界のベンチマーク(Magellan AIなど)では平均広告負荷は再生時間の5〜8%程度とされ、今回のデータもそれと矛盾しないとしています。
また、ポッドキャスト広告はダウンロード時に動的に挿入されるため、数値は処理した時点のコピーを表すものです。検出精度は90%以上(精度テストでは広告区間の約97%を捕捉)で、見逃した分は集計に含まれないため、すべての合計値は「下限」であると説明されています。
なお、業界全体ではポッドキャスト広告収益が年およそ18%成長する一方で、エビソードあたりの広告負荷は横ばいからやや減少傾向にあり(IAB/PwC)、聴取者が感じるのはこの「偏り」だとしています。