広告音声制作の第一人者ダン・プライス氏が、AI音声クローン・プラットフォーム「BionicVO」を発表しました。合成音声ではなく、実在するプロ声優のライセンス音声のみを使用し、声が使われるたびに声優へ報酬が支払われるロイヤリティ型を採用している点が特徴です。
「Oink Ink Radio」創業者が手掛けるAI音声
BionicVOは、米ラジオ広告制作会社Oink Ink Radioの創業者であるダン・プライス氏が、マネージング・メンバーとして手掛けるプロ向けのAI音声クローン・プラットフォームです。2026年6月11日に発表されました。プライス氏は40年にわたり音声パフォーマンスのディレクションに携わり、Oink Ink RadioではGoogle、IBM、Ford、AT&T、NBC、Staplesといった大手ブランドの音声制作を手掛けてきました。その仕事はCannes Lions、Clios、One Show Pencils、Radio Mercury Awards、London International Awardsなどを含め、約1,000の業界賞を受賞しています。
合成音声を使わず、実在するプロ声優のみを起用
BionicVO最大の特徴は、カタログに登録された声がすべて実在するプロ声優のものであり、合成のストック音声を使用しない点にあります。各声優はプライス氏自身が「明瞭で人間的、そして本物であること」を基準に選び、いずれも自らの条件のもとで声のライセンス提供に同意しています。ロスターは、全米規模のコマーシャル、ネットワークテレビ、映画などの実績を持つ現役のプロで構成されています。ライブラリには男女あわせて56種類のAI音声が用意されています。
プライス氏は「AI音声が悪いのは、技術が悪いからではありません。誰もその演技をディレクションしていないからです。私たちはこれらのツールを単に使うのではなく、使いこなすためにBionicVOを作りました」と述べています。実際、ユーザーがプラットフォームに触れる前段階で、プライス氏とエンジニアリングチームが40年分の音声ディレクションとサウンドデザインのノウハウをソース音声そのものに適用しているといいます。
声優へ報酬を還元するロイヤリティ型モデル
BionicVOは、合成音声バンクではなくロイヤリティ・モデルで運営されています。声が使われるたびに、その声優へ報酬が支払われる仕組みです。同社は「偽の声も、盗まれた肖像もない」と説明しており、無断で複製された音声や、同意のない合成による置き換えを行わない姿勢を打ち出しています。
4ステップで音声クローンを作成
音声クローンの作成は「4つのシンプルなステップ」で行われます。まず声優を選び、次にスクリプトをAIに読み込ませます。続いて選んだ声優がスクリプトを読み上げる「オーディション」が行われ、AIによる音声が選定されると制作が始まります。ユーザーはロスターを閲覧してスクリプトをアップロードし、クローンを生成したうえで、組み込みのプロダクション・スタジオで仕上げていく流れです。料金体系としては、2か月間の無料トライアルに加え、2段階の有料プランと、カスタマイズ可能な法人向けプランが用意されています。
拡大するAI音声市場での位置づけ
世界のAI音声市場は2030年までに217億5,000万ドルに達すると予測されています。BionicVOは、厳選されたプロ声優のロスターと、40年分のパフォーマンス・ディレクションのノウハウをソース音声に適用するという組み合わせで、この成長市場に参入します。音のクオリティに妥協したくないクリエイティブ・チームに向けたプラットフォームとして展開されています。
参照元:BionicVO 公式サイト