AIを活用したアート作品を対象とする「第一回AIアートグランプリ」の結果が発表されました。今回はこのニュースを紹介します。
このコンテストの審査基準は、「人間らしい表現のための手段としてAIを正しく活用していること」「独創性のある表現が行われていること」「他者の権利を直接的に侵害していないもの」「日本国内法を遵守していること」とあります。生成系AIのあるべき姿を想定して、審査が行われていることがわかりますね。
279の応募作品から見事優勝したのは、10年近く前に亡くなった妻の声をAI音声合成で歌わせる松尾公也(松尾P)さんの動画作品でした。歌声だけでなく、動画の映像も妻の写真をベースにAIが生成したものを利用しています。
プレゼンテーションはこちらの動画の43分〜53をご覧ください。
こちらが優勝作品となった動画「Desperado – Diff-SVC generated 妻音源とりちゃん[AI]」です。
素晴らしい作品で、泣けますね。
妻の歌声とそこから生成したUTAU-Synthの歌声、そして本人のおしゃべりを合計1時間分、機械学習ベースの声質変換ソフトウェア「Diff-SVC」(Diffusion model Singing Voice Conversion)に学習させて生成した歌声を使っているとのこと。「Diff-SVC」は、元になる音声データが1時間くらいあれば与えた音声を希望する声質に変換することが可能になるそうです。
松尾さん本人による解説記事も見応えがあります。以下興味があればぜひご覧ください。
TechnoEdge / 好きな人の声で歌える、破壊的でヤバい「Diff-SVC」はAI歌声合成を民主化するのか(CloseBox)
他にも松尾さんの作品は公開されています。
松尾さんが10年くらい前に歌ったボーカルデータをDiff-SVCによる妻のAIモデルによって変換して作ったカバー曲「Yesterday Once More」。
Diff-SVCによる妻のAIモデルと松尾さんがデュエットした曲「Devoted To You」。
AIをここまで活用するモチベーションは愛(AI)だったそうです(^ ^)
ともかく、松尾さん、優勝おめでとうございます!
ではまた。