インプレスは2026年7月23日、『電子書籍ビジネス調査報告書2026』の調査結果を発表しました。オーディオブックの利用率は9.6%と堅調に拡大し、利用意向を持つ人は20.9%。新指標の市場推計でも音声が対象に加えられています。

オーディオブックの利用率は9.6%に拡大
インプレスグループでIT・デザイン関連メディア事業を展開する株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:高橋隆志)は2026年7月23日、電子書籍市場の動向調査の結果を発表しました。調査結果の詳細は新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2026』として発行され、2026年7月28日(火)に発売されます。
今回の調査でオーディオブックの利用経験と利用意向を尋ねたところ、「よく利用する」が2.4%、「たまに利用する」が7.2%となり、合わせた利用率は9.6%となりました。インプレスはこの数値について、堅調に拡大しているとしています。音声で本を聴くという習慣が、モバイル機器ユーザーのおよそ10人に1人にまで広がっていることになります。
「使ってみたい」層は20.9%、現在の利用者の2倍超
注目したいのは、利用意向を持つ層の厚さです。「利用したことはないが、利用したいと思う」と回答した人は20.9%にのぼりました。実際の利用率9.6%に対して、その倍以上の規模の潜在層が存在していることになります。
この構図は、オーディオブック市場が現在の利用者数の延長線上にとどまらない伸びしろを抱えていることを示しています。すでに関心を持ちながらまだ最初の一歩を踏み出していない層をどう取り込むかが、事業者にとっての課題であり機会でもあると言えるでしょう。
音声も対象に加えた新市場指標を初算出
本年度版の調査報告書では、「デジタルパブリッシング・コンテンツ市場規模」という新たな指標が暫定で定義され、算出されました。従来の電子書籍市場規模が網羅していなかった音声やウェブなども対象とし、従来のBtoCに加えてBtoB、CtoC市場も推計したものです。
これによると、2025年度の国内デジタルパブリッシング・コンテンツ市場は約9300億円に達する巨大な市場になっています。BtoCでは後述の電子書籍市場規模が大半を占めますが、それを除いても直販デジタル雑誌コンテンツやオーディオブックで約320億円の市場を形成しています。BtoBでは電子図書館などで約660億円、CtoCではファン支援や電子同人などで1470億円となっています。
これまで電子書籍市場の統計からこぼれ落ちていた音声コンテンツが、正式に市場推計の枠組みに組み込まれた点は、オーディオブックを扱う事業者にとって意味のある変化です。なお本指標は、精度を高めながら定期的に定義および数値を更新していく予定とされています。
電子書籍市場は6846億円、成熟期へ
一方、2025年度の電子書籍市場規模は前年度比2.1%増の6846億円となりました。内訳をみると、市場の87.8%を占めるコミックが前年度から132億円増加の6010億円、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同10億円増加の615億円、雑誌が同1億円増加の221億円です。市場は爆発的な急成長期から、年数%増の緩やかな拡大を続ける成熟期へと移行しているとされています。
また、モバイル機器(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対する直近1年間の利用率調査では、有料の電子書籍利用率は17.8%となり、コロナ禍の2021年(20.5%)をピークに5年連続して低下しています。無料の電子書籍のみを利用した割合は28.5%、有料・無料を合わせた電子書籍利用者全体は46.3%でした。テキストの電子書籍が成熟局面に入るなかで、オーディオブックが伸びを維持している点は対照的です。
なお、ウェブ小説の利用率は「よく利用する」4.9%、「たまに利用する」11.6%の合計16.5%となり、前年の15.5%から1.0ポイント増加。利用意向を持つ人は14.2%でした。利用意向の高さという点では、オーディオブック(20.9%)がウェブ小説を上回っています。
調査概要と報告書について
電子書籍の利用率調査は、atocos株式会社「スマートアンサー」の保有するアンケートパネルを対象に、2026年5月21日から31日にかけてスマートフォン・タブレットのアプリ上で実施され、有効回答数は12,727サンプルでした。続く電子書籍利用実態調査は、利用率調査で電子書籍を利用していると回答した人を対象に2026年6月3日から9日に実施し、有効回答数は3,385サンプル(うち有料利用者1,434)です。
本調査は、出版社、編集プロダクション、スタジオ、電子書籍ストア、取次事業者、電子図書館サービス事業者、ベンダー等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を基に、各分野の有識者とインプレス総合研究所により分析されています。報告書は電子書籍ビジネス黎明期の2003年に第1号を発行し、本年で24年目を迎えます。
『電子書籍ビジネス調査報告書2026』は第2章「主要事業者の動向と戦略」において、電子書籍ストア・アプリ、出版社、コンテンツプロバイダーと制作スタジオ、取次事業者、ソリューション提供、電子図書館とともに、オーディオブック分野の事業者の最新動向と戦略を詳解しています。A4判414ページで、価格はCD(PDF)版・電子版が96,800円(本体88,000円+税10%)、CD(PDF)+冊子版が107,800円(本体98,000円+税10%)です。
参照元: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007525.000005875.html


