米Cumulus Media|Westwood One Audio Active Groupが2026年7月13日に公開した最新調査で、ポッドキャスト広告に対するマーケターとメディアエージェンシーの検討・出稿意向が、過去12年間で最高水準に達したことが明らかになりました。2026年6月に300社を対象に実施された調査では、9割超が投資対象として議論し、76%が実際に出稿していると回答しています。

12年間にわたる追跡調査が示した「過去最高」

2015年9月、米国のInteractive Advertising Bureau(IAB)は初の「Podcast Upfront Showcase」を開催しました。デジタルオーディオ領域における最新のポッドキャスト番組を広告主やメディアバイヤーに紹介し、消費者にリーチするプラットフォームとしてのポッドキャストの力を啓発・認知させることが狙いでした。
この初回のIAB Podcast Upfrontに先立ち、Cumulus Media|Westwood One Audio Active Groupは調査会社Advertiser Perceptionsに委託し、ポッドキャスト広告に対するエージェンシーとブランドの意識調査を開始しました。以来12年間、バイサイドのポッドキャスト広告の検討状況と出稿意向を追跡するため、同じ調査が毎年繰り返されています。
最新版は2026年6月に、300社のマーケターおよびメディアエージェンシーを対象として実施されました。その結果、広告主・エージェンシーによるポッドキャスト広告の議論と出稿意向が、12年間で最高値に達したことが判明しています。
出稿意向は2015年比で7倍超に
数字の伸びは劇的です。2015年時点で「今後6か月以内にポッドキャストへ出稿するつもりがある」と答えたブランド・メディアエージェンシーは、わずか10%にとどまっていました。それが2026年6月には74%となり、7倍を超える増加となっています。
調査結果を購買ファネルの各段階で見ると、以下のようになります。
- メディア投資の候補としてポッドキャスト広告を議論したことがある:93%
- 今後6か月以内の出稿を検討している:75%
- 今後6か月以内に間違いなく出稿する:74%
- 現在ポッドキャストに出稿している:76%
ファネルのどの段階においても、エージェンシー・広告主の関心が高い水準にあることが分かります。
コロナ禍の停滞を経て、2022年から再び上昇
「同僚とポッドキャスト広告をメディア投資の候補として議論したことがあるか」という設問に対する回答は、2015年から2019年にかけて着実に増加しました。しかしパンデミックにより、ブランド・マーケター間の投資に関する会話は2年間落ち込みます。転機は2022年で、この年に議論が力強く回復し、その後は一度も後退していません。
「今後6か月以内にポッドキャストへの出稿を検討する可能性はどの程度か」という問いには75%が「間違いなく検討する」と回答し、12年間で最高値となりました。さらに「今後6か月以内に実際に出稿する可能性はどの程度か」という問いには74%が「非常に可能性が高い」と答え、こちらも12年間の記録を更新しています。
実際の出稿状況も同様の軌跡をたどっています。「現在ポッドキャストに出稿しているか」という設問への回答は2015年から2019年にかけて着実に伸び、2020年のパンデミック期に一旦足踏みしました。2021年には成長を再開し、今回の調査では76%が現在出稿していると回答。初回のIAB Podcast Upfrontが開催された2015年と比較して5倍の水準です。
「プールには入ったが、つま先を浸しているだけ」
もっとも、Westwood Oneは楽観だけを語ってはいません。多くの広告主がポッドキャストを利用していると回答している一方で、その予算規模は極めて小さいと指摘しています。
Magellanの2026年第1四半期「Podcast Advertising Benchmark Report」によれば、マーケターが上位500番組に投じた金額は月あたりわずか36万4,000ドルでした。さらに同レポートでは、新規参入した広告主が少額出稿に終始する傾向も示されています。2026年第1四半期にポッドキャストへ新規参入した1,318社の広告主の平均出稿額は3万2,300ドルにとどまり、ブランドを成長させ売上効果を生み出すために必要な水準には遠く及ばないとされています。
「アーニー・セムスキーの5%ソリューション」
Westwood Oneが解決策として提示するのが、BBDOの伝説的メディア責任者アーニー・セムスキー氏が提唱した「5%ソリューション」です。ケーブルネットワーク広告の黎明期に、セムスキー氏は新興メディアであるケーブルに対してメディア予算の5%を振り向けるべきだと主張しました。5%という配分であれば、意味のあるインパクトを生み出すのに十分だという考え方です。
結果としてセムスキー氏の判断は先見の明があったとされ、担当ブランドは成長する新メディアで早期かつ大胆に強いポジションを取ったことで大きな恩恵を受けました。Westwood Oneは、これを今日のマーケターにとっての教訓と位置づけ、ポッドキャスト広告の利用が広がっていること自体は前向きに評価しつつ、焦点はいまや「意味のある投資」へと移らなければならないと結論づけています。デジタル予算の5%をポッドキャスティングに配分する時期に来ている、というのが同社の提言です。
まとめ
12年にわたる追跡調査が示したのは、ポッドキャスト広告が「知られていないメディア」から「ほとんどの広告主が議論し、多くが実際に使うメディア」へと変化したという事実です。認知や検討の段階はすでに突破されました。残された課題は出稿額の絶対水準であり、そこにこそ次の成長余地があるといえます。本記事の元となったレポートのスライドはPDFで公開されています。

