フォーミュラEと、公式クラウドパートナーのGoogle Cloudは、視覚障がいのあるファンにもモータースポーツの魅力を届ける新たな取り組みとして、AIを活用した音声レースレポート・ポッドキャストの共同開発を発表しました。
FORMULA E OPERATIONS / フォーミュラEとGoogle Cloud、視覚障がい者向けにAIを活用したインクルーシブ・ポッドキャスト開発で協業
このプロジェクトは、ロンドンで開催された「Google Cloudサミット」にて、フォーミュラE CEOのジェフ・ドッズ氏が発表したもの。Google Cloudの生成AIを活用し、各E-Prixの熱戦を臨場感豊かに振り返る音声ダイジェストを作成することで、誰もがレースの興奮を体験できるインクルーシブなコンテンツ提供を目指しています。
音声レポートは、Google CloudのAI基盤「Vertex AI」を活用し、以下のプロセスを経て制作されます。
実況の書き起こし
1.Googleの音声認識モデル「Chirp」が、ライブのレース実況をリアルタイムでテキスト化。
レース展開の要約生成
2.生成AI「Gemini」が実況テキストに加え、ライブタイミングや公式レースデータを分析。追い抜きやクラッシュ、ピット戦略などのハイライトを抽出し、事実に基づいた魅力的な要約を生成。
自然な音声への変換
3.要約テキストは高度なTTS(テキスト読み上げ技術)によって、自然で表現力豊かな音声に変換されます。
この一連のプロセスはレース終了後わずか数分で完了し、完成した音声レポートはSpotifyなど主要プラットフォームで世界中に配信。英語、スペイン語、日本語を含む15以上の言語で展開予定です。
この取り組みは、2024年ロンドンE-Prix期間中にGoogle Cloud主催で行われたハッカソンをきっかけに始まりました。現在は、視覚障がい者の情報アクセスを支援する英国の慈善団体RNIBと連携し、当事者のニーズに即したコンテンツ設計が進められています。
今後は、RNIBとの協力のもと、ベルリンおよびロンドンのレースウィークでフォーカスグループやユーザーテストを実施。フィードバックをもとに改善を重ね、シーズン12での本格導入を目指しています。