ポッドキャスト企業のAcastは2026年10月28日、2026年第3四半期の決算を発表しました。売上高は前年同期比25%増の802.3百万スウェーデン・クローナ(SEK)と四半期として過去最高を更新し、調整後EBITDAマージンと調整後EBITマージンも過去最高となりました。
Acastが過去最高の第3四半期を発表
スウェーデン・ストックホルムのナスダック市場に上場するポッドキャスト企業Acastは、2026年10月28日、2026年1〜9月期の中間報告を発表しました。第3四半期の売上高は802.3百万SEKで、同社として過去最高の四半期売上高を記録しました。
CEOのグレッグ・グレンデイ(Greg Glenday)氏は、今回の四半期について、売上高に加えて調整後EBITDAマージン、調整後EBITマージンでも過去最高を達成したと述べ、成長が収益性に結びついていると説明しています。
第3四半期の主要な業績
| 項目 | 2026年第3四半期 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 802.3百万SEK(25%増) | 642.1百万SEK |
| オーガニック売上成長率 | 18% | 41% |
| EBITDA | 73.7百万SEK(マージン9%) | 37.6百万SEK(同6%) |
| 調整後EBITDA | 77.8百万SEK(マージン10%) | 39.7百万SEK(同6%) |
| 営業利益(EBIT) | 47.7百万SEK(マージン6%) | 15.9百万SEK(同2%) |
| 調整後営業利益 | 51.9百万SEK(マージン6%) | 18.1百万SEK(同3%) |
| 当期利益 | 45.4百万SEK | 7.3百万SEK |
| 1株当たり利益(希薄化前/後) | 0.25SEK/0.24SEK | 0.04SEK/0.04SEK |
| 営業活動によるキャッシュフロー | 21.7百万SEK | 19.6百万SEK |
| 再生・視聴数 | 11億5,500万回(4%増) | 11億800万回 |
| ARPLV(再生・視聴1回あたりの平均収益) | 0.69SEK(20%増) | 0.58SEK |
※オーガニック売上成長率は、為替影響と買収の影響を除いた数値です。再生・視聴数およびARPLVの「視聴」は、現時点ではHLS形式(Appleが採用する動画形式)のみが対象です。
北米が54%増、最大セグメントに
成長を牽引したのは北米で、売上高は前年同期比54%増(前年同期は58%増)となりました。北米は現在、同社にとって最大のセグメントとなっています。また、8月に買収した米国のネットワーク「Backyard Ventures」は、第3四半期に28百万SEKの売上高を計上しました。
その他の市場(Other Markets)は18%増でした。一方、欧州は5%増と伸びは緩やかでした。同社は、前年同期の比較対象が高い水準にあったことに加え、第2四半期がワールドカップ関連の広告主の動きに一部支えられていたことを要因に挙げています。なお、1〜9月の9カ月間で見ると、欧州はオーガニックで16%成長しています。
収益性:調整後EBITマージンは過去最高
同社は、売上規模の拡大とコスト管理の両立により、過去最高の収益性を実現したとしています。売上総利益率は39%で、前年同期と同水準を維持しました。減価償却費を除く調整後営業費用は前年同期比11%増にとどまり、売上高の25%増を下回ったことで、グループ全体で営業レバレッジが働きました。
その結果、調整後EBITDAマージンは前年同期の6%から10%へ拡大し、調整後EBITDAはほぼ倍増の約78百万SEKとなりました。調整後EBITはほぼ3倍の約52百万SEKに増え、マージンは6%(前年同期は約18百万SEK、マージン3%)となりました。なお、当四半期の比較可能性に影響する項目は4.2百万SEKで、主にBackyard Venturesの買収に伴う取引費用です。
ARPLVが20%上昇、収益化戦略が進展
再生・視聴1回あたりの平均収益(ARPLV)は、前年同期比20%増の0.69SEKとなりました。再生・視聴数も4%増加しています。同社は、収益化できる在庫(インベントリ)の拡大と、その在庫の価値向上の両面が成長を支えていると説明しています。
オムニチャネル化への対応を加速
同社の調査「Podcast Pulse 2026」によると、音声と動画の両方でポッドキャストを楽しむリスナーは88%(前年は78%)に達し、63%がエピソードをある形式で聴き始めて別の形式で聴き終えた経験があるといいます。リスナーは音声、動画、SNS、ニュースレターをまたいでお気に入りのクリエイターを追いかけており、広告主もすべてのチャネルにひとつの窓口からアクセスできることを求めるようになっていると同社は分析しています。ポッドキャストの収益は依然として音声が大半を占めるものの、同社は以前からこの変化に備えてきたとしています。
経営体制の強化
同社はこの変化に対応するため、リーダーシップへの投資を進めています。
- リヴ・サンドバーグ(Liv Sandberg)氏:EVP, Europeに任命。欧州市場を初めて単一のリーダーのもとに統合します。2027年初めにTikTokから参画予定で、同社では17市場の広告事業を率いており、過去にはMetaやStarcomでも要職を務めました。
- マーク・ブリング(Mark Bulling)氏:VP Productに任命。WPP Mediaのデータ・テクノロジー企業Choreographから参画します。Facebook/MetaやAppleを含め15年以上のプロダクトリーダー経験を持ち、クリエイター向け・広告主向けサービスのプロダクト戦略を統括します。
Backyard Venturesの買収
8月に発表した米国ネットワーク「Backyard Ventures」の買収により、音声、YouTube、ニュースレター、SNSにまたがる200人以上のクリエイターが加わりました。あわせて、米国のプレミアムな広告在庫や、動画スポンサーシップとダイレクトレスポンス広告の専門知見も獲得しています。同社は、この買収によって世界最大のポッドキャスト専業企業としての地位を強化するとともに、米国で戦略的に重要なポッドキャスト市場の一つであるオースティンに拠点を得たとしています。
2028年目標に向けて順調と強調
グレンデイ氏は、今回の決算について、力強い成長、マージンの拡大、そして最大セグメントとなった北米事業の拡大を示すものだとし、拡張性のあるビジネスモデルであることが示されたと述べています。そのうえで、2028年の目標に向けて正しい道を歩んでいるとの自信を示しました。決算説明会は2026年10月28日(中央ヨーロッパ時間10時)に、グレンデイCEOとアンダース・ヘッグ(Anders Hägg)CFOによりウェブキャストで行われました。
Acastについて
Acastは、世界最大のポッドキャスト専業企業です。14万人以上のストーリーテラーと4,000社以上の広告主を世界中でつなぎ、クリエイターが音声、動画、SNSなどで成長・収益化できる基盤を提供しています。ナスダック・ストックホルムに上場しています(ティッカー:ACAST)。
参照元:
https://investors.acast.com/press-releases/q3-record-revenue-record-margins