Spotifyが広告スキップ機能を試験導入、ポッドキャスト業界に波紋

Podnewsの独占報道によると、Spotifyがアプリ内でポッドキャストの広告をスキップできる新機能「Skip Ahead」を試験導入しています。Premiumユーザー向けに一部市場で提供され、広告枠やイントロを1タップで飛ばせる仕組みで、広告収入に依存する番組にとって大きな脅威になりうると報じられています。

「Skip Ahead」とはどのような機能か

Podnewsの独占報道によると、Spotifyはアプリ内でポッドキャストの広告をスキップできる新機能を試験導入しています。「Skip Ahead」と呼ばれるこのツールは、一部市場のPremiumユーザーが利用でき、広告枠全体、イントロ、スポンサーメッセージ、さらにはPremium会員登録の案内までも飛ばすことができます。

Podnewsのテストでは、広告枠が始まると画面上に「Skip Ahead」ボタンが表示されました。このボタンを1回タップするだけで、広告が終わった次のセクションの冒頭へと聴取者が移動します。ボタンは広告、プロモーション、イントロに対してのみ表示される仕組みです。なお、この機能はSpotifyから正式に発表されたものではありません。

競合の広告でも自社番組でも表示される

Podnewsは、この広告スキップ機能が、Spotifyの競合であるAcast、Audacy、New York Timesの広告を含む番組で利用できる証拠を確認しています。加えて、Spotify自身が手がけるBill Simmonsの番組内でも同機能が確認されました。

Spotify自身の番組内で「Skip Ahead」が表示されることは、一方でSpotifyが広告を販売しながら、他方で有料ユーザーに対してその広告を聴かせないための「スキップ」機能を提示していることを意味します。あるポッドキャスト広告会社は、これが不正な行為とみなされうると指摘しています。広告は課金され音声に組み込まれているにもかかわらず、聴取者はそれを聴かないよう積極的に促されているためです。競合の広告と並んで機能が表示される点も同様に問題であり、Spotifyが競合の番組における広告の効果を妨げる可能性があると報じられています。

「聴取者はもともと広告を飛ばしている」のか

この機能は、もともと聴取者が広告をスキップする行動を再現しているだけだという見方もできます。しかし、ポッドキャスト分析会社Bumperが、アンケート上の申告ではなく実際の行動を分析したデータによれば、実際にスキップされている広告枠は10%未満にとどまるとされています。

今回のSpotifyの新機能は、この広告スキップをはるかに容易にするものと見られています。Podnewsの試算では、ある広告枠をスキップするには従来「15秒スキップ」ボタンを9回押す必要があり、しかも広告枠を少し行き過ぎてしまい、さらに1回戻す操作が必要でした。新機能はこの手間を、わずか1タップにまで削減します。加えて、画面上に「Skip Ahead」ボタンが現れること自体が、これから流れる内容についての合図となり、聴取者にスキップを促す招待のように働くと指摘されています。

Spotifyがポッドキャスト業界に与える影響

ポッドキャストの広告スキップアプリはすでに存在しています。しかしPodnewsによるOP3データの分析では、Spotifyは世界のポッドキャストダウンロード全体の少なくとも25.6%を占めているとされます。多くの国、とりわけ新興市場において、Spotifyは最大のプラットフォームとなっています。

これほど主流のポッドキャストアプリで広告をスキップする機能が提供されることは、広告収入を選んだポッドキャスト制作者にとって脅威となります。Podnewsは、スキップボタンが使われた場合でもSpotifyが制作者に補償することはないと推測しています。また、Spotifyは広告のスキップだけでなく、Premium会員登録を促すコンテンツにもボタンを表示させることで、広告以外の収益化手段までスキップするよう促していると指摘されています。

Spotifyの見解

Spotifyの広報担当者はPodnewsに対し、同社では定期的にテストを実施しており、一部は恒久的な機能となる一方、他は将来の製品開発に役立てられると説明しています。そのうえで、Premium会員がポッドキャストの聴取や視聴をより直感的に行えるよう、人々の利用状況に基づいて模索しており、聴取者がポッドキャストをより楽しめるようにすることを目的としているとしています。この機能はPremium会員のみを対象とし、特定の市場でのみ利用可能であり、Podnewsが確認した動画は米国のPremium顧客によるものと理解されています。

広告配信そのものへの即時の影響は限定的

ポッドキャスト制作者がすぐに影響を受ける可能性は低いとされています。広告のポッドキャスト音声への配信自体は影響を受けないためです。しかし、広告は聴取者がそれを聴くことで成り立つものであり、十分な数の人々が広告を飛ばせば、広告は効果を失い、広告主はキャンペーンを再び出稿しなくなると指摘されています。

Spotifyはこれまでもポッドキャスト業界から警戒の目で見られてきました。今回、Spotifyが広告スキップ機能を実際に開発しているという事実は、業界に好意的には受け止められないと報じられています。

まとめ

Spotifyの「Skip Ahead」機能は、まだ一部市場のPremium会員を対象とした試験段階にあり、正式発表もされていません。しかし、世界のポッドキャストダウンロードの4分の1以上を占める主要プラットフォームが、広告や収益化コンテンツを1タップでスキップできる仕組みを提供しうるという事実は、広告収入に依存する制作者や業界にとって無視できない論点となっています。

参照元:https://podnews.net/article/spotify-threat-ad-skipping