音声AIのイレブンラボは、企業評価額を220億米ドルとする3億米ドルの従業員保有株式の売却を完了しました。評価額は2026年2月のシリーズD時点から2倍です。成長をけん引しているのは企業向けの会話型エージェント基盤『ElevenAgents』で、エージェントが処理する会話は毎週1,500万件を超えています。

評価額220億米ドルで従業員保有株式の売却を完了
イレブンラボ(CEO:Mati Staniszewski)は2026年10月1日、企業評価額を220億米ドルとする、3億米ドルの従業員保有株式の売却(テンダーオファー)を完了したと発表しました。この評価額は、2026年2月のシリーズD時点の2倍にあたります。
今回の取引は、従業員が保有する株式を投資家が取得するものです。次の成長段階を長期的に支える機関投資家として、WellingtonとT. Rowe Priceが主導しました。
参加した投資家
- 主導:Wellington、T. Rowe Price
- 既存投資家:Andreessen Horowitz、Lightspeed、ICONIQ、D.E. Shaw、Evantic、DISRUPTIVE、Alkeon
- 新規投資家:EQT、Goldman Sachs、GIC、OTPP、Sapphire Ventures、BDT & MSD
評価額900万米ドルから4年で220億米ドルへ
イレブンラボは2022年、最初のテキスト読み上げモデル「Eleven v1」の発表とともに、評価額900万米ドルで最初の資金調達を行いました。それから4年を経て、今回の評価額に至っています。
成長の原動力は会話型エージェントの企業導入
成長をけん引しているのは、企業向けの音声・チャットエージェントプラットフォーム『ElevenAgents』です。企業が自社のナレッジやシステムと接続した会話型エージェントを導入し、顧客や従業員とのやり取りに活用する動きが広がっています。現在、エンタープライズが収益の55%を占めています。
大手企業や政府機関が相次いで導入
2月のシリーズD以降、Stripe、Deutsche Telekom、DoorDash傘下のSevenRooms、Admiral、Customers Bank、Cadenceのほか、ウクライナやギリシャの政府機関が、営業、サポート、事業運営に『ElevenAgents』を導入しました。
また、日常業務でイレブンラボの技術を利用している企業は、次のとおりです。
- 世界のテクノロジー企業上位10社のうち5社
- 保険会社上位10社のうち5社
- 通信会社上位10社のうち4社
週1,500万件超の会話を処理、ARRは3倍以上に
エージェントが処理する会話は毎週1,500万件を超え、2月から3倍に増えました。返金や交換の手続き、保険契約の更新、携帯電話プランの変更、医療機関の予約、行政サービスの利用など、日常のさまざまな用件に対応しています。同じ期間に、『ElevenAgents』の年間経常収益(ARR)は3倍以上に増加しました。
顧客企業の分析では、音声エージェントはチャットエージェントに比べ、平均で31%速く問題を解決しています。また、WhatsApp、電話、メールなど複数の窓口をまたいで顧客対応をつなぐマルチチャネルでの導入企業数は、2月以降で2倍になりました。
業界ごとの製品と導入支援
求められるやり取りの仕方や用語、安全対策、コンプライアンスの基準は、業界によって大きく異なります。イレブンラボは、金融サービス、医療、政府機関、小売、通信の各業界に向けて、業界ごとの製品や連携機能を開発しています。導入にあたっては、業界に詳しいエンジニアが顧客企業と連携し、それぞれのブランドや状況に合わせて調整しています。
研究、プロダクト、導入の3つの領域での取り組み
イレブンラボは、AIが社会に広く根づくためには、人と自然にやり取りできることが欠かせないと考えています。人にとって最も身近なコミュニケーション手段である「声」を軸に、次の3つの領域で取り組みを進めています。
- 研究:55億人以上が母語とする90を超える言語で、話す、聞く、翻訳するAIモデルを開発。特定の業界や地域で自然に機能するモデルの開発にも注力しています。
- プロダクト:モデルとアプリケーションを一体で最適化し、やり取りの表現力、応答の速さ、信頼性を高めています。
- 導入:言語や文化、業界、ブランドによって異なる要件に合わせ、導入支援を担うエンジニアと研究者が各組織と連携してモデルとエージェントを調整しています。
最近の主な取り組み
日本語の表現力を高めた音声合成モデル「Eleven v4」
2026年9月に提供を開始した「Eleven v4」は、イレブンラボのモデルの中で最も表現力の高いテキスト読み上げモデルです。日本語は前モデルからの品質改善に重点を置いた言語のひとつで、発音の正確さに加え、リズムや感情表現の自然さを高めました。リアルタイムの対話向けには、最初の音声が出るまでのモデル推論時間を中央値で約100ミリ秒とした「Eleven v4 Turbo」も同時に公開しています。
医療分野向けの文字起こしモデル「Scribe v2 Medical」
2026年9月に正式提供を開始した、医療向けに最適化した文字起こしモデルです。臨床の口述記録を対象とした評価では単語誤り率が4.9%となり、従来の「Scribe v2」に比べて誤りを35%減らしました。現在は英語、フランス語、ドイツ語に対応しています。
CEOのコメント
共同創業者兼CEOのMati Staniszewski氏は、AIとのやり取りは人と人が話すときのように自然であるべきで、それが実現すれば技術に詳しいかどうかにかかわらず誰もがAIの恩恵を受けられるようになると述べています。また、すでに多くの企業や政府機関が顧客や市民との対話に音声エージェントを取り入れ始めていることに触れ、今回の株式売却を通じて会社の成長を支えてきた社員とその価値を分かち合えることをうれしく思うとコメントしています。
イレブンラボは今後も、日本の顧客が長く安心して使えるよう、日本語の品質向上と、安心・安全に音声AIを活用できる環境づくりに取り組むとしています。
イレブンラボについて
イレブンラボは2022年に設立されたAI研究・プロダクト企業です。企業向けの音声・チャットエージェントプラットフォーム「ElevenAgents」、コンテンツの制作・編集を支援する「ElevenCreative」、開発者がAIオーディオ基盤モデルを利用できる「ElevenAPI」を提供しています。プラットフォームは、Fortune 500企業の80%以上を含む数千社に利用されています。
参照元: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000160611.html

