Podcasting 2.0はもう「異端」ではない、Appleらの採用で主流へ

米Podnewsは2026年10月13日、Blubrry Podcastingのマイク・デル氏による寄稿「Podcasting 2.0: Why It’s Not Fringe Anymore」を掲載しました。RSSを拡張するPodcasting 2.0が、Apple PodcastsやSpotify for Creators、主要ホスティング企業に採用され、もはや一部の取り組みではなくなっている現状を解説しています。

「Podcasting 2.0はフリンジ(周辺的)」という発言から始まった議論

寄稿者のマイク・デル氏は、ポッドキャスト業界で20年以上の経験を持ち、Blubrry PodcastingでVP of Operationsを務めています。記事のきっかけは、今年に入って業界関係者のロブ・グリーンリー氏が番組「The New Media Show」で、Podcasting 2.0を「フリンジ(fringe=周辺的・少数派)」と表現したことでした。

グリーンリー氏はその後、この言葉は適切ではなかったとし、本来はイノベーションと主流への普及の間にあるギャップについて話したかったと説明する記事を書いています。デル氏は、数年前であればPodcasting 2.0をフリンジと呼ぶのも不合理ではなかったものの、もはやそうした状況ではないと主張しています。

Podcasting 2.0の成り立ち

ポッドキャストは誕生から20年以上が経ち、その成功を支えてきたのはオープンな性質でした。配信者はRSSフィードを公開するだけでよく、どのポッドキャストアプリもそのフィードを読み込めます。配信にも、アプリ開発にも、AppleやSpotifyなど特定企業の許可は必要ありません。

一方で、長年にわたりAppleのポッドキャストディレクトリが業界の事実上の標準となり、多くのアプリがその情報に依存していました。この課題を解決するため、アダム・カリー氏とデイヴ・ジョーンズ氏が約6年前に、独立したオープンなポッドキャストカタログ「Podcast Index」を立ち上げました。そこから発展したのがPodcasting 2.0で、現在はPodcast Index、Podcast Namespace、Podping、そして開発者、アプリ、配信ツール、ホスティング企業、ポッドキャスターによるエコシステムを含んでいます。

RSSを置き換えるのではなく「拡張」する

デル氏は、Podcasting 2.0がRSSを置き換えようとしたのではなく、拡張したものであると強調しています。RSSはもともと拡張可能な仕組みとして設計されており、AppleのiTunesネームスペースはその代表例です。Podcast Namespaceも同様に、新機能を理解しないアプリやシステムを壊すことなく、RSSに機能を追加できます。古いアプリはそのままフィードを読み込み、新しいアプリは追加情報を活用できます。

記事では、わかりやすい例として「トランスクリプト」「チャプター」「ファンディング」の3つのタグが紹介されています。

トランスクリプト(podcast:transcript)

配信者がエピソードとともに文字起こしや字幕ファイルを提供できるタグです。アクセシビリティや検索性の向上に役立つほか、各プラットフォームの自動生成に頼らず、クリエイター自身が管理できる点が利点とされています。VTTやSRTなどの形式に対応し、タイムスタンプ付きのものは対応アプリで字幕として使えます。Apple PodcastsとSpotify for Creatorsがこのタグに対応しています。ただしSpotifyのNamespace対応はトランスクリプトに限られます。

チャプター(podcast:chapters)

チャプター情報をMP3ファイル内に埋め込むのではなく、外部のJSONファイルを参照する仕組みです。音声ファイルを再エンコードせずにチャプターを修正・更新でき、タイトル、リンク、アートワークも含められます。Webプレーヤーなど多様なプレーヤーで扱いやすく、すでに複数のアプリや配信ツールで使われています。

ファンディング(podcast:funding)

リスナーが番組を支援するためのリンクを提供するシンプルなタグです。会員ページやPatreon、寄付ページなど、リンク先はクリエイターが指定できます。デル氏は、Podcasting 2.0がビットコインと同一視されがちな点に触れ、Value for Valueの要素はあるものの、ウォレットがなくても活用できる機能が多いと説明しています。

インフラとしての「Podping」

従来、ポッドキャストアプリやディレクトリは定期的にRSSフィードを確認して更新の有無を調べていました。Podpingは、配信システム側からフィードが更新されたことを通知する仕組みです。情報の発信源は引き続きRSSフィードであり、Podpingは新しい情報があることを知らせる役割を担います。執筆時点で、Podcasting 2.0のサポート一覧には、Podpingに対応する配信・ホスティングツールが24件掲載されています。

採用企業の広がりが「主流化」を示す

デル氏は、Podcasting 2.0がフリンジではない最大の根拠は、実際に採用している企業の顔ぶれにあると述べています。

  • リスニングアプリ:Apple Podcasts、Pocket Casts、Podcast Addict、AntennaPodなど
  • Spotify for Creators:トランスクリプトタグに対応
  • 配信・ホスティング:TrueFans、Blubrry(WordPress用PowerPressプラグイン)、RSS.com、Captivate、Buzzsprout、Transistor、RedCircle、Castos、Spreaker、PodBeanなど

対応機能数で並べた配信ツール一覧では、執筆時点でTrueFansが1位、Blubrryが2位となっています。すべての企業がすべての機能に対応しているわけではありませんが、デル氏はそれこそがオープンなエコシステムのあり方だとしています。

オープンなRSS基盤を守ることの意義

デル氏は、AppleのHLSやYouTube、SpotifyのAPIなど新しい配信技術とRSSは共存できるとしたうえで、クリエイターが複数の企業に個別にコンテンツをアップロードし、各社が視聴方法を決めるような閉じた仕組みになることを懸念しています。RSSを拡張することは、ポッドキャストのオープン性を守る一つの方法だと述べています。

まとめ

Podcasting 2.0は、少人数の開発者による取り組みから始まりましたが、現在ではApple Podcasts、Spotify、ホスティング企業、多くのリスニングアプリに一部の機能が採用されています。デル氏は、Podcasting 2.0は未来の話ではなく、すでにここにあると結論づけています。

参照元: https://podnews.net/article/podcasting-2-dot-0-fringe