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オーディオブック×運動が認知機能維持に有効か|オトバンク研究が論文賞

オーディオブックと運動を組み合わせた「二重課題(デュアルタスク)」トレーニングが、軽度認知障害(MCI)の認知機能低下の抑制に有効である可能性を示す研究結果が発表されました。「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンクが協力した本研究は『日本早期認知症学会誌』に掲載され、第13回日本早期認知症学会「論文賞」を受賞しています。本記事では、研究の概要や結果、研究者のコメントをまとめます。

論文の掲載と「論文賞」受賞

オーディオブック書籍ラインナップ数No.1(※)の「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンク(本社:東京都文京区、代表取締役社長:久保田裕也)が協力した研究が、『日本早期認知症学会誌』に掲載されました。

本研究は、ベルピアノ病院および関西福祉科学大学による「複合的運動プログラムとオーディオブックを用いた二重課題トレーニングによる認知機能低下の抑制効果 ―軽度認知障害および主観的認知機能低下を有する要支援高齢者に対する準ランダム化並行群間比較試験―」と題するもので、第13回日本早期認知症学会「論文賞」を受賞しました。65歳以上の要支援高齢者を対象に1年間の比較実験を実施し、運動とオーディオブックによる二重課題が認知機能の維持に有効であることを示唆しています。

※日本マーケティングリサーチ機構2023年11月調べ。日本語オーディオブック書籍ラインナップ数調査。

研究のポイント

本研究では、65歳以上の要支援高齢者を対象に、オーディオブックを用いた二重課題トレーニングの1年間にわたる長期介入効果を検討しました。複合的運動プログラムのみを行う「対照群」と、同プログラムにオーディオブックを用いた二重課題を週1回追加した「二重課題群」の2群で、認知機能(MoCA-J)の変化を比較しています。

その結果、対照群では認知機能が有意に低下した一方、二重課題群では有意な変化がなく、認知機能が維持されました。1年後の評価では、二重課題群はベースラインから0.79点改善したのに対し、対照群では1.25点低下。両群間の「介入前後の変化量」の差は2.04点(P=0.024)となり、臨床的意義があるとされる基準(MCID:2点)を上回りました。

また本手法は、計算やしりとりなどの従来の定型課題で課題となっていた「慣れ」や「飽き」を解消し、1年間のプログラム遵守率86.1%という高い継続性が確認されています。

研究の概要

本研究では、65歳以上の要支援高齢者68名を対象に、1年間にわたる比較試験を実施しました。比較したのは次の2つのグループです。

①複合的運動のみを行うグループ(対照群 35名)

週2回、理学療法士による個別リハビリに加え、レッドコードを用いたバランスエクササイズ、エルゴメーターによる有酸素運動、5種類のマシンを用いた筋力トレーニング、コグニバイクを含む複合的運動プログラムを合計約90分実施しました。パソコン画面を見ながら運動する「コグニバイク(二重課題)」も含まれており、従来から認知症予防に有効とされる標準的な介入を十分に行うグループです。

②運動+オーディオブックを行うグループ(二重課題群 33名)

①の標準的な運動プログラムに加え、週1回、リハビリ時間のうち15〜20分間を「オーディオブックを用いた独自の二重課題トレーニング」に充てました。具体的には、足踏みなどの有酸素運動を行いながら物語や実用書のオーディオブックを10分間聴き(運動しながらオーディオブックを聴く)、運動終了後に聴いた内容を思い出して用紙に記入する(想起/アウトプット)という内容です。前回聴いた内容を確認しながら音読を行うプロトコルも実施されました。

比較実験の結果

軽度認知障害(MCI)の検出に有効な認知機能検査「MoCA-J」を用いて評価したところ、1年後の評価で対照群と二重課題群の間に有意な交互作用(P=0.027)が認められました。対照群は認知機能スコアが有意に低下した一方、二重課題群は1年後も低下が見られず、良好な数値を維持しました。

この結果から、単なる運動だけでなく、オーディオブックの聴取と想起という知的刺激を組み合わせることが、認知機能の低下を抑えるうえで有効であることが示唆されました。

研究の背景と目的

国内の認知症の人の数は増加傾向にあり、2022年時点で認知症とMCI(軽度認知障害)を合わせると約1,000万人を超えています。さらに2040年には合計約1,200万人(認知症約584万人、MCI約613万人)、高齢者の約3.3人に1人が認知症またはその予備軍になると見込まれています。

運動と知的課題を組み合わせる「二重課題(デュアルタスク)」は認知機能維持に有効とされていますが、従来の計算などの課題は慣れ(学習効果)により刺激が弱まる点が課題でした。本研究では、コンテンツが豊富で常に新しい刺激が得られるオーディオブックに着目し、学習効果を最小限に抑えた長期的な有効性を検証しています。

研究者からのコメント

ベルピアノ病院の中村祐輔氏は、オーディオブックを用いた二重課題トレーニングが1年間の長期介入においても認知機能低下の抑制に寄与する可能性を示したとし、内容が常に変化するオーディオブックは楽しみながら継続できる点が特徴だと述べています。

同病院の前河知佳氏は、運動習慣や家事動作と組み合わせて日常生活に取り入れやすい点が大きなメリットであり、従来の認知課題で生じがちな「慣れ」や「飽き」を解消できるオーディオブックは、認知症予防ツールとして親和性が高いとコメントしています。

関西福祉科学大学保健医療学部の重森健太教授は、本研究はオーディオブックを用いた二重課題トレーニングが楽しさを保ちながら前頭葉を効率的に活性化し、認知機能低下の抑制に寄与しうることを示した点で意義深いと評価。日常の動作と組み合わせやすく継続しやすい点を大きな利点として挙げています。

受賞論文の詳細

  • 論文名:複合的運動プログラムとオーディオブックを用いた二重課題トレーニングによる認知機能低下の抑制効果 ―軽度認知障害および主観的認知機能低下を有する要支援高齢者に対する準ランダム化並行群間比較試験―
  • 執筆者:中村祐輔(ベルピアノ病院 リハビリテーション室)、前河知佳(ベルピアノ病院 リハビリテーション室)、重森健太(関西福祉科学大学 保健医療学部)
  • 掲載誌:『日本早期認知症学会誌』(Journal of Japan Society for Early Stage of Dementia)第18巻第2号、75-84頁、2025年12月3日発行
  • 受賞:第13回 日本早期認知症学会 論文賞

オトバンクは、実証で使用するオーディオブックサービス「audiobook.jp」を提供しました。audiobook.jpは2007年開始の「FeBe」を前身とする日本最大級のオーディオブック配信サービスで、2024年2月には会員数300万人を突破しています。

まとめ

オーディオブックの聴取と想起を運動と組み合わせる二重課題トレーニングは、軽度認知障害(MCI)の認知機能低下の抑制に有効である可能性が示されました。従来の定型課題と異なり「飽き」が生じにくく、高い継続性が確認された点も大きな特徴です。シニア世代の持続可能な認知症予防プログラムとして、今後の社会実装が期待されます。

参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000616.000034798.html

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